樹木と鉢との調和は盆栽の良し悪しを決める重要な要素です。樹木をいっそう引き立たせる鉢合わせができた時は格別な思いが味わえます。

中国で古くに作られ、それ自体が美術品に分類されるような高価なものから、比較的安価に手に入るものまで値段も実に様々です。盆栽店や陶器店、古物市、通販などでも見つけられます。
陶芸にもご興味のある方は、家庭用の電気窯を利用すれば、ご自分のイメージに合わせてつくることができ、よりいっそう楽しみが広がります。

盆栽鉢は、産地、焼成方法、形状、素材、色合い、大きさ、窯元、作家など、さまざまな角度から分類することができます。

産地による分類

中国から輸入した中国鉢と日本でつくられた日本鉢に分けられます。
中国鉢はさらにその年代によって、江戸時代末期以前のものを「古渡り」、明治時代から大正時代のものを「中渡り」、大正時代末期から昭和のものを「新渡」と呼ばれています。
日本のやきものの産地といえば日本六古窯といわれる、備前(岡山県)、丹波(兵庫県)、信楽(滋賀県)、常滑(愛知県)、瀬戸(愛知県)、越前(福井県)が有名です。

焼成技法による分類

釉薬をかけずに焼いた「泥もの」と、素焼きをしたものに釉薬をかけて高温で焼いた「釉薬もの」に分けられます。
泥ものはさらに、低温で焼く「素焼き」、高温で焼く「焼締め」に分けられます。

形状による分類

形状の種類も多く、真上から見た形や胴の形、縁や隅、足の形、鉢の深さなどで細かく名称が付けられています。
真上から見た形で分類しますと、丸、楕円(小判)、長方、正方、木瓜、六角、八角、輪花などがあります。
胴の形で分類しますと、太鼓、反形、切立、袋形などがあります。

盆栽鉢の選び方

樹を引き立たせてくれる鉢を選びましょう。樹そのものよりも鉢が目立ちすぎるのもあまりよくないとされています。樹と鉢の組合せが良いことを「鉢映りが良い」と言います。

鉢の大きさは、盆栽自体の横幅と同じくらいの幅を目安にすると良いでしょう。鉢が大きすぎると寂しい印象になったり、小さすぎるとバランスの悪い印象を与えてしまいます。

焼成技法で分けると、松柏類には泥もの、それ以外は釉薬ものを合わせる、というのがひとつの目安になります。